ドリーム小説

初恋








ちゃんは遠い世界からやってきた僕と同じ年の女の子なんだ。

なんでも、その世界では神様に使える巫女さんなんだって。

ちゃんが言うには、神様にお祈りをしているとき、いきなり凄い光がちゃんを包んで、気がついたら熊(大人しい熊/笑)を恐れて逃げていた僕の目の前にいたんだって。

僕、無我夢中で目を瞑ってたから逃げてちゃんの顔が見えなかったの。


だから……おでことおでこをぶつけちゃって二人で泣いちゃったんだι

(その時僕の事が心配で後を付けてきた熊は、僕らが泣き止むまでそばにいてくれたんだ)
 
暫くしてお父さんが迎えに来てくれたんだ!だけどちゃんはまだ泣いたままだから、お父さんったら強引にお家まで連れてったんだ。



 それから知ったんだ。ちゃんが遠い世界から来た巫女さんなんだって。 



僕のお父さんとお母さんはちゃんが無事に帰れる方法が見つかるまで家で生活することになったんだ!僕嬉しくてドキドキしちゃった!お父さんもお母さんもちゃんのこと家族みたいに慕って、僕も妹みたいに仲良くしたんだ。




 このまま、こんな楽しい時間が続けばいいのに……。





 ある日。ちゃんの世界にいた召使いさんみたいな人が現れたんだ。

 僕とちゃんはお外で遊んで来いってお母さんに言われたけど、僕らは気になって壁に耳を当てて盗み聞きしちゃったんだ。

 話の途中、一つの言葉が、今の生活を崩した。




  
を……私たちの世界に帰らせていただきます』 




 ……ちゃん…………自分の世界に帰ることになっちゃった。




ちゃんは、その世界にとって世界の平和をもたらす大切な存在みたい。


…簡単に言ったら神様みたいなものかな?

 そんな平和を保っていたちゃんがいなくなって3ヶ月の間、世界は地獄みたいな瑞々しく悪化して、今すぐにでも戻ってくれないと困っちゃうみたい。

お父さんとお母さんは、状況を分かったみたいで、外で遊んでいた僕らを家に戻ってこいと言われたんだ。(その頃僕ら急いで遊んでいるふりしたんだ。凄く焦ったι)




『悟飯。。お前らに話さなきゃならねーことがあんだ。ソファーに座るんだ』



 
いつもより深刻な表情のお父さんと、悲しい顔で俯くお母さんの顔にチクリと心が痛んで、僕らは指示に従ってソファーに座った。お父さんたちの後ろには召使いさんがいて、ちゃんは驚いた表情で見ていた。




『悟飯。……オラたちの後ろにいるこのおっちゃんたちはな。と同じ世界に来た人なんだ。……を、迎えに……』

『……………』

『そんで……は、神様みたいな存在で、がいねぇーと世界が滅びちまうんだ。……あいつらにとって、には一秒でも早く帰ってくれなきゃ困るんだ。だから……今日でお別れだ』






 何で、お父さんはそんなに冷静に言うの?どうしてお母さんは何も言わないの?




何でちゃんは、苦しい顔をして俯くの?









様。帰りましょう。皆が………世界があなた様のご帰還をお待ちしています』

『……はい……』



……』

ちゃん………』



お父さんとお母さんの前にちゃんは立って頭を下げて、いつもの花咲くような笑顔をしていた。



『この3ヶ月。私を置いてくれてありがとうございます。……私のこと、本当の家族みたいに接してくれた悟空さんとチチさんのこと、ずっと忘れません』




まるで大人みたいな雰囲気と、丁寧な言葉遣いでお礼を言うちゃんの横顔が別に見えた。

次に僕の前に立ち、初めは俯いたが、さっきと同じ笑顔で僕の手を握ってくれた。



『私ね。ずっと悟飯くんのこと、お兄ちゃんみたいに思って、凄く面白かったよ!だから……帰っても、悟飯くんのこと、忘れないよ』



ちゃんは笑顔なのに、僕はどうすれば良いのか分からないままグシャグシャな顔で涙を流した。



        『忘れないよ』



                          『絶対忘れないから』



 心に針を刺されたようなチクチクした思いで大きく首を振った。

 ちゃんは安心した笑顔で、そっと握った手を離した。






その時、僕の心の中の言葉が、頭の中で流れ出した。<BR



『行かないで』 『お別れはイヤだよ』

『もっといっぱい遊びたいのに……』





『君のことが好きなのに……!!』





僕は……




そのままちゃんを




自分が元だった世界に帰るところまで見送った。深い青色の玉をしたペンダントを握りしめて。


 
これは……彼女から僕に貰ったもの。



†††††††††††††††




『これ、あげる!』




森の泉のほとりで遊んでいた時。ちゃんから差し出されたのは、深い青色の玉をしたペンダントだった。

その色はまるで夜みたいで、太陽に照らしたら透き通るような綺麗な石だった。

 僕はそれを受け取って不思議な表情でちゃんを見ると、花咲くような笑顔で言った。



『この石はね。悪い気から身を守る力が込められているの。だから……悟飯くんにあげる!』

『でも、ちゃん……』

『……悟飯くんに、受け取ってほしいの』



顔を真っ赤にしたちゃんに、僕は嬉しい笑顔で笑って大事に受け止めた。


『ありがとう!これ、ちゃんだと思って大事にする!』

『……ありがとう!』



その時のちゃんの顔に、僕は嬉しい気持ちになった。




忘れないよ。




何年経っても。みんながちゃんのこと忘れても、僕はしっかりと覚えているから。




だって僕は…………




ちゃんが大好きだから!




End