ドリーム小説
愛しい?
出会いは、時に人の心を変えることが出来る。
俺がと出会って半年が過ぎようとしていた。は身寄りがなく、俺はデンデンやポポ達に事情を説明した上でこの神殿に置くことにした。
そもそも、との出会いは半年前の、満月の日から始まる。
修行をしていた俺はある山奥で精神統一をしていたところ、山奥の更に奥の、闇に染まる中で闇夜を縫う女の叫び声が耳に入ったのだ。気配は……男が二人に、女が一人。
そのうえ俺は他人の心を読める訳だから、女の今の状況が読み取れた。
『助けて!誰か助けて!!』
『助けて!!!』
逃げるのに必死で、心の声が恐怖に震えていた・・・・・・。
そして心の声が抵抗の言葉を上げた。きっと、捕まえられたのだろうか。
このまま何されるのか知っていて見ぬ振りをするのは後味が悪い。俺はすぐその場まで向かい、女を襲う男らを力で脅した。
通常の力以上を振り出した俺を見て怖気ついた男らは腰を抜かして見っとも無い姿を見送った後、引き裂かれた服を押さえて気絶している女を抱き上げて神殿へと連れて行った。
それがだ。
暫くは起きないに、デンデもポポは手厚い看病をしていた。
ある日デンデとポポもの部屋から離れていたため様子を見に行ったら、彼女は目を覚ました………珍しくも、俺は心から喜びという感情を覚えた。
は自分の名前を名乗り、両親を失って身寄りのない彼女は天涯孤独となり、皮肉にも街の住民から追い出される形となった。
の両親は流行病にて床に伏せ、暫く病院生活を送っていたが、2ヶ月後、他界。
病気の菌が移ると恐れた住民は、を毛嫌い、やがて街から追い出されたのだ。
その事実を知り、はデンデやポポに今までのことを話すと、デンデは笑顔で言った。
「さんの身寄りが見つかるまでここに置いたらよろしいでしょうか?」
その言葉に俺は異議はなかった。
それから神殿の中の雰囲気がガラリと変わった。の柔らかな笑顔と、人懐っこい性格。デンデ達は彼女を受け入れたが、俺は…………分からない。
自分が言うのは何だが、俺の中で何らかの感情が渦巻いていた。
を考えた途端、心臓はヤケに高鳴るし、体中が……甘く疼く。時にその疼きは弱かったり強かったりの繰り返しを行う。
それから3ヶ月。を引き取るという奴が来た。
「よっ!ピッコロ。元気だったか?」
「……お前か……」
俺の目の前で無邪気な笑顔をする、孫 悟空。を引き取りに来た奴だ。
一週間前のこと。ポポがを安心して引き取ってくれる所を探した中、あまり見つからず悟空やベジータらのことろへ行き話したところ……。
「ウチは施設所じゃねぇ」
とベジータがキレてポポを追い出した。
渋々ベジータに対してのグチをこぼしながら次は悟空の家を訪ねた。
孫は何とか了解したが、嫁のチチには話していないため暫くしたら神殿へ向かうという話をポポから聞いたことがある。そしてついに孫は現れた。
「結構長かったな?」
「チチがウルサくてよけど、やっと了解を得た!」
「……を引き取るのか?」
「おぅ!今からだ」
「な……!?」
はまだ、このことを知らない。話がきっちり決定したら話そうとしたんだ。
だが、今からだとは急すぎる!
「待て、孫!暫く……三日後また来てくれ。俺はに、まだこの話をしていない」
「まだ?ピッコロにしては珍しいことがあんだなぁ……。わかった。三日後また来るぜ。……筋斗雲!!」
黄色の雲が現れ、嵐の如く去っていく孫を見送る俺の中に、戸惑いの渦が巻く。
嫌な気持ちだ。こんな気持ちは初めてだ……。
空をふと見上げると、もう夜になっていた。そして銀色の巨大な満月が神殿を照らしていた。
あの月は……と出会ったときと同じ満月……。
嗚呼。またを考えると心臓が高鳴る。息苦しくて、体が熱く疼く……。
誰か、この気持ちを教えてくれ。
End