親が親なら子は子
ドリーム小説
ここは地獄。みんなのイメージだと、針の山や血の池があり罪人達がもがき苦しむという地獄絵巻の図だろうが、ここには何ももがき苦しむ声や光景がなく、沈黙が流れるだけ。
「静かだなぁ……。ここ本当に地獄?」
特に行く当てのないは、辺りを見渡しながら歩いているといきなり壁にぶつかり尻餅をつく。鼻に痛みが走り、血の流れる感覚がないため鼻血にならずにすんでほっとしてゆっくり立ち上がってぶつかった何かを見上げると、緑の人が立っていた。背中になんか変な羽が付いていて……何だか蝉(せみ)みたいだ。
「大丈夫かな?お嬢さん」
「あ……大丈夫です!ぶつかってごめんなさいι」
「いえいえ。女性の方に気付かずにいきなり痛い思いをさせていまって、逆にこちらこそ申し訳ない」
なんて物腰のいい人なんだろう……Vv
「おっと。自己紹介が遅れました。私は“セル”といいます。失礼ですが、お嬢さんの名前は?」
ペコッと頭を下げて謝ると緑の人は左胸に手を当て、紳士的な振る舞いをして挨拶して自己紹介をする。は惚けていたため、慌てて自己紹介をする。
「わ……私、といいます!」
「……素敵な名前だ」
そういうとは自然とセルと親しくなる。
「何であなたみたいな優しい人が地獄にいるんですか?」
「沢山人を殺したからね。それに私には地獄があっている。天国という楽園は、きっと退屈できっと息苦しい」
「だけど地獄といっても、何も危険らしいものは見当たりませんが……?」
「……ここはあくまで地獄。静かでも罪人達の溜まり場だ。そこらで争う者が後を絶えない程たくさんいる」
その言葉が終わると同時に近くで爆発音が地獄中に轟いた。
ちょうど二人は数メートル離れた所にいたため軽い風が通り過ぎただけで怪我をせずに済んだ。
「ほらな」
「…………ι」
「ここは危ないから、場所を離れよう」
セルはを抱き上げて別の場所へ移動した。いきなり抱き上げられて顔を赤面して困った表情をしたがいたとか。
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しばらくしてセルは誰もいない針の山の近くでを下ろし、は鋭い刺の針を見上げながら関心する。
「すご〜い!こんな山どうやって登るんですか?」
「には絶対無理だろうな」
「当たり前ですよ。こんなの登ったらもう一回死んじゃいますよ」
笑いながら言うとは裏腹に、セルは口元を吊り上げていた。
「……」
「はい?セルさ…………」
のその柔らかい唇を自分の唇を重ねた。目を見開いたは慌てて離れようとするが、セルはそれを許さず頭を固定して深く口付けをする。
「ん……やぁ、セ…………ル、さん///なんで……?」
「私は、君に惹かれてね。つい感情が抑えられなくなってしまってね」
耳元でセクシーな声で囁くセルに、は身を縮こまって背中に何かくすぐったい何かを感じてふるふる震える。
「……好きだ。私のものになれ」
「ま……待って、セルさん///」
「罪人は、待つことは出来ないんでね」
スルリとセルの手が服の中に忍び込んでギュッと目を瞑ったが、何もしてこない。不思議に思い目を開けると、セルに似た可愛らしい水色の子がセルの頭の上にうつ伏せになって、不思議な目でを見つめていた。
子供を除いて二人は硬直。
じぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ
額と額がくっつきそうな距離だからそんなに見られても目をそらしてしまう。
「キキ?」
「ん……ん?」
「キィ〜Vv」
あ、笑った。……可愛いvvv
「キキ〜っ」
ドカっ!!!!!!!
「Σぐおっ?!」
いきなり宙を浮いたと思いきや、セルを蹴り上げてムギュっとに抱きつく。蹴られたセルは「セルジュニア〜〜!!」と叫びながら遠くにある岩に激突し、崩れ落ちる岩を、とセルジュニアは見送らず、に甘えるジュニアが一本勝ちした。
End