飯≠愛
ドリー夢小説
悟空の恋人のです。
ただ今心に不安を抱えています。
飯≠愛
「〜!たでぇーま!」
修行から帰ってきた悟空に、はエプロンを付けたまま微笑みながら悟空を出迎える。
「おかえりなさい、悟空。今ご飯出来たとこだよ」
「よっしゃ!!おら腹減ったぞ!」
「じゃ、早く食べないとね」
いつもの会話。何も険悪な雰囲気という空気はなかったが、の不安は食後からやってくるのだ……。
「ふぅ〜vv食った、食った〜……v」
満足した表情で膨れたお腹を撫でる悟空の左右には積み重なっている皿の山があった。
は悟空の前にお茶を置いて微笑みながら言う。
「今日も良い食べっぷりね」
「ん〜の飯はうめぇからおら大好きだ」
「あは。嬉しい!じゃ夕飯は張り切って作らなきゃ」
「Σマジでかv!」
という会話の中で、の心の中はまた不安の渦を巻いている。
付き合って以来、彼の口から自分に対する愛の言葉を聞いていない。
修行から終えた後は大量のご飯を作って彼はこういう。「の飯は大好き」。至ってなんてことがないが、その言葉だけじゃ物足りなかった。
悟空の口から、「が好き」とか「愛してる」という言葉を求めている。
告白された時言ってくれた言葉を求めている。だけど、我慢しよう。
今のこの生活を壊したくない。そう自分に言い聞かせて不安の渦をかき消そうと、日々努力していた……。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「久々だなぁ、この道通るの」
大量の弁当を持って、修行している悟空の修行場へ向かう。
そうしたら、何か発展するかもしれないし……悟空の修行している姿が見たかったからだ。
上機嫌なは橋を渡っている途中、ギシギシ音を立てる板に意識しながら慎重に歩く。あと少しという所で事件が起きた。
バキッ!!!!!
「!!!きゃぁっ!!!!!!」
板がいきなり壊れてしまい、大量のお弁当の僅かは崖に落ちてしまった。
何とか紐に捕まっているだが、そう長くは続かなかった。手に痺れが走り、力が段々弱まっていく。
「ご………くぅ………」
は必死に耐えながら悟空の名前を無意識に呟く。
「助けて!………悟空、助けて……!」
ズルッと、手が紐から離れてしまい、は崖へ落ちてしまう。
甲高い悲鳴を上げながら悟空の名前を叫ぶと、の名前を呼んで筋斗雲でを救出した。
ふかふかな感触にも関わらず固く目を瞑りしがみつく。
「……!でぇーじょうぶか!?」
「ご……悟空!」
悟空の声に顔を上げると、目の前で宙に浮いている悟空に、は間抜けな声を出した。
「どうして……」
「おめぇの気が段々弱まっていくのを感じて駆けつけてきたんだ。おめぇは何でここにいんだ?」
「……悟空に、お弁当届けようとしたの。だけど、半分崖から落ちちゃって少なくなっちゃったの。ごめんね、ご……」
悟空と言う前に、いきなり悟空がに抱き締めた。突然の行動に戸惑うは悟空を見上げる。
「悟空……?」
「よかった……おめぇが無事で本当によかった……!」
「悟空…………」
「……オラ、が作ってくれた飯好きだけど、がオラの側にいてくれると、オラおめぇのこと、いつもより好きになっちまうんだ」
「///!ほんとう……?」
「オラはおめぇに嘘なんか付かねえ!本当に、大好きだ」
ぎゅっと強くを抱きしめる悟空に、心の中で渦を巻いてた不安が消えた。
求めていたこの言葉……やっと聞けた。
「悟空……私も、悟空が好き。大好き……」
ぎゅっと抱きしめ返しは悟空の逞しい胸板に顔を埋めて温もりを感じる。
ぎゅるるる
「……オラ腹減った」
「……」
End.