「何て日だ!」
ドリー夢小説
私、と言います。現在目の前にいる可愛らしい?(笑)白トカゲさんがいました。
回想を申し上げます。実を言うと、私あっさり死んだんですよ。それで閻魔大王様に天国行きの地図を貰ってその道の通りに歩いていたら、足元がグラリとバランスを崩してそのまま天国から地獄へ・・・。
凄い勢いで落ちて当然私は大混乱。すると頭の紫の頭をした人に私は叫びました。
「そこの紫の頭の人――――!!!もし良かったら受け止めてくださいぃぃぃ!!!!」
閻魔様から聞いたんですが、死んだ人間は傷を負っても意識不明になってもすぐに生き返れるというが、この状態で痛いまま人間ジャムになるのは絶対いやだぁ!
あぁ、もう一度死ぬなんてシャレになるかしら?絶対にならないわ。
段々地面が近付いてくる!あぁ〜!受け止められなくても、せめてジワジワ痛みを感じないままもう一度死にたい!!!
…………………………………………あれ?痛くない。
「大丈夫ですか?」
固く目を瞑っていた私は恐る恐る目を開いて顔を上げると、その人は私を抱き上げて微笑みながら(目は笑っていないが)私をゆっくり降ろしてくれた。
そして現在に至る。
「あなた。どんな罪を犯してここへ来たんですか?」
「え?あ、ち、違うんです!私足を滑らせて地獄に落ちちゃったみたいで……」
「……あなたはどれだけドン臭いんです?」
「ぅ……すみません」
我ながら恥ずかしい話だ。小石も何もないただの安全な道だったのに、どうやったらバランスを崩して落ちたのかが、自分でも不思議でたまりません。
「……まぁいいでしょう。では。私はこれで……」
「あ……待ってください!せめて出口とかあれば……」
「何故私があなたみたいな下等生物の世話をしなければならないのです?」
「か……下等生物、ですか?」
「まぁ、精々他の罪人たちに襲われないよう健闘を祈っていますよ」
彼はプイッと尻尾を優雅に揺らしながら去っていこうとする。今は白トカゲさんのことより、初対面の相手に下等生物と呼ばれたことに物凄くショックを受けていた。
(しょうがない……自分が愚かな所為なのだから)
小さくため息を吐きながら、途方に暮れながら出口を探そうと考えていたところ顔を上げると、少し離れた所から白いトカゲさんが立っていて横目でこっちを見ながら尻尾を無駄なく揺らしていた。なんか、目が言っている。「早く来い」って。
私は小走りに走って白いトカゲさんの所へ向かい、少し距離が近付いてきた所で白いトカゲさんはまた歩き出した。それが何度も何度も続いて、小一時間くらい過ぎたところで巨大な門の前に着きました。
「あれは地獄の門です。あそこに行って鬼達に説明すれば、天国へ連れてってくれるでしょう」
「はぁ……はぁっ。あ、ありがとうございましゅ……」
小一時間走ったり止まったりの繰り返しで休む暇も無かったからすっかり息切れ。
「では、失礼しますよ」
「あ!ま、待ってください!」
私は咄嗟に尻尾をギュッと抱きしめて白いトカゲさんを呼び止めた。いきなりでビックリしたのか、白トカゲさんは目を大きく開きながら後ろを向いて私を見ていた。
「お、お名前」
「…………」
「私、って言います!あの、貴方の名前を、教えてください」
「………何故聞くのです?もう会わないというのに」
「ここまで来て、名前を知らないで『さよなら』はイヤです!」
観念したかのように白いトカゲさんはため息を吐いて。
「……フリーザ……」
「フリーザですよ。さん」
「フリー……ザ、さん……」
「さぁ。早く尻尾から離れてください。名前を知って満足したのでしょ?」
「あ、すみません。つい咄嗟に……ここまで送ってくれてありがとうございます!私、会えなくてもフリーザさんのこと、忘れませんよ!」
私は飛びっきりの笑顔をしてフリーザさんに別れを告げて地獄の門にいる鬼達に説明して天国へ向かった。
******
一方取り残されたフリーザは岩に座りながら足を組んで、更に腕を組んでいた。
「あんな下等生物……放っとけばよかったのに」
私としたことが……いつの間に甘くなったものか………。
「私、会えなくてもフリーザさんのこと、忘れませんよ!」
あんな小娘の忘れてしまえばいい。………だけど、あの笑顔が脳裏に浮かぶたび心臓がヤケに早鐘を打つのは……とても重症だ。
まったく、何て日だ!
End.