『王子の扱い方』



ドリー夢小説 私は

本を愛する『図書の虫』であり、わが星と同じ名前の王子ベジータ『様』の教育係りです。





ん?なんで『様』を強調したかって?





………あいつに聞いて。



 
 
 


惑星ベジータが亡くなって一年。
まだ幼い少年……ベジータ王子と私はフリーザの命令で小さな星を消滅しに“スノー星”に来ている。


名前の通り、万年雪が降り続いているこの星の住民は美しい種族だった。
白い肌に透き通るような水色の髪。この雪星にピッタリの容貌だ。戦いを全く好まない。




そんな種族を……私たちは殺した。




「王子〜。全員殺しました。この星にはスノー人は一人もいません」
「…………ふん。遅すぎだ愚か者。俺なら一時間で片付けた」




あぁ。はいはい。王子の強さは分かってますよ。だけどさぁ?褒めてくれてもよくない??




「もうこの星にはようはないな。ポットに乗って打ち上げ花火の支度をするぞ」
「フリーザと同じ事するの?」
「……そういう命令だ。行くぞ」
「はいは………あ…………」



天空から羽より軽い雪の結晶がパラパラと降ってきた。
……久々に見る雪に、私は呆然と見上げていた。


「………何でくの坊みたいに立っていやがる」
「は!ごめんね、王子!か、風邪ひいたらフリーザに笑われるから、これ着て」


私は着ていたコートを王子に羽織らせると、王子はさっと避ける。
……イヤなんかい。



「俺はそんなダサいコートなど着たくはない。そんなものお前にピッタリだ」
「な!ヒドい、王子!これ一万二千もしたんだよ!!」
「そんなもの知らん。いいからさっと着やがれ」



このツンデレ王子…………素直に『俺は平気だから、お前は俺の身を案じないで着ていろ』といえないのか。(無理だ)
 
 
「……お前何を考えてた?」
「べ、別に!さぁ、打ち上げ準備準備!」
「……おい、……くしょん!!!」



ん?デカいくしゃみ?



………………………………ヤバい。



「王子!!早くコート着てポットに入りなさい!!!!」
「な、貴様王子に向かってその口の……」


「いいからさっさと着て乗れや」



「はい……」



だって風邪ひいた王子と帰還したらナッパが怒るんだもん。この前なんかかすり傷ちょっとのだけの事で殺されそうになったんだから!


王子がポットに乗った後私も続いて乗り惑星フリーザへ向かう。
ポットの中で静かに眠ろうとした寸前に王子の容態が気になった。

だって長時間破壊して温まる暇なんてなかった。ましてや王子はまだ子供。病原菌と戦う抵抗力はまだ身についてはいない。風邪は引いてないとはいえ、油断は禁物。私は迷わずスカウターを使って王子に通信する。



。なんだ』
「あ、王子。気分はいかがです?」
『ふん。あれくらいで俺は風邪など…………くしっ!』
「やっぱりひいちゃってる!王子。暫く緊急用救命機があるはずです。それを使って安静にしてください」
『馬鹿やろう。俺はそんなものは付けん。面倒だ』
「王子ワガママ言わないで。只でさえ免疫力を鍛えていない状態で帰還するつもり?フリーザに笑われるより先に飽きられて『使い物にならない』って言われて終わりよ」
「……ちっ。ベラベラ好き放題言いやがって」

「誉め言葉として受け取ります」



王子のポットにカチャカチャと音が聞こえ、やがて寝息が聞こえた。
きっと救命機を付けて眠りに就いたのだろう。
全く……扱いにくい王子だわ。でも、全然憎めない。何だか安堵した。私はスイッチを切る前に優しく呟く。




「お休み ベジータ様」




プツンとスイッチを切り、私も暫く眠りに入った。








オマケ↓





『お休み ベジータ様』


プツンとスイッチが切れたと同時に、一気に顔を真っ赤にし俺は眠りから覚めた。



「あの女…………人が眠りに入ろうとしたところを妨げやがって……!」





『お休み ベジータ様』





あんな優しい声で囁きやがって……。俺の感情を知っててワザとやっているのか!?




…………いや。
冷静に考えたら、あんな女にそんな行動的な行為はしないか。
天然だからな。






終わり(え)